2020-01-01から1年間の記事一覧
八月の赤子はいまも宙を蹴る 宇多喜代子 八月がくるうつせみうつしみ 寺井谷子 象の背を箒で掃いて終戦日 大木あまり どの家も道につながり盆の村 小泉啄葉 南から骨の開いた傘が来る 鴇田智哉 ゆつくりと西より雨や絵燈籠 宇佐美魚目 岐阜提燈瀬音の中に点…
やはらかく胸を打ちたる団扇かな 片山由美子 一瞬にしてみな遺品雲の峰 櫂未知子 老の肘さむくてならぬ夏の雨 辻田克巳 ばつてらや川筋は灯のなつかしく 山尾玉藻 手に取りて木曽の檜の椀涼し 稲畑廣太郎 カバのデカ死んで日本の油照 坪内稔典 日盛や動物園…
アイヌの世界で重要な動物は熊と鮭で、鹿も重要な食料となる動物です。アイヌの神話では、さまざまな動物の霊が大きな働きをしていて、動物の世界と人間の世界を自由に行き来しています。アイヌの人たちの言葉で、神はカムイと言いますが、そのカムイは最高…
凍蝶の己が魂追うて飛ぶ 高浜虚子 採る茄子の手籠にきゆアとなきにけり 飯田蛇笏 人来ればおどろきおつる桐の花 前田普羅 蟋蟀が深き地中を覗き込む 山口誓子 雪片のつれ立ちてくる深空かな 高野素十 何もかも知つてをるなり竃猫 富安風生 落葉松はいつめざ…
・草間時彦(1920~2003年)サラリーマン俳句、グルメ俳句 金魚赤し賞与もて人量らるる 冷え過ぎしビールよ友の栄達よ 土用鰻息子を呼んで食はせけり 畳屋の肘が働く秋日和 秋鯖や上司罵るために酔ふ 秋風や昼餉に出でしビルの谷 台風や四肢いきいきと雨合羽…
・NHK俳句6月号 小澤實 「夏の木の感情」に違和感を持たれる方が少なくないと思います。感情は人間のもののはずです。ほ乳類などの感情までは広げてもいいかもしれません。しかし、植物の感情まで広げるのは、常識的にはむつかしいと思います。 しかし、ぼ…
青山茂根(あおやまもね)1966年、茨城県生まれ ・ひよめきの閉じて梟帰れざる ・バビロンへ行かう風信子咲いたなら ・ひとつづつ衣服を脱ぎて兎追う ・踏青といへど挽歌をうたふため ・悴むを羽化のはじまる心地とも ・ががんぼに嘆きの壁を与へけり ・…
小野あらた!1993年生まれ、若いなあ!!若くて、スゴイ!!! 読んで分かる句。日常を詠む。日常にある気づかなかった「詩」を見つける。 こんな若手は稀有だなあ。若い時は尖がった句を詠む。それどころか年取っても~ ・絵も文字も下手な看板海の家 ・春…
「俳句五段とばし!」 2020年4月12日放送 ①元句 ☆幼子の春の小さな赤い靴 ②表現を整える ☆幼子のハミング赤き春の靴 ③設定を広げよう ☆赤き靴見知らぬ街を春一日 ④違うものと取り合わせる ☆春の日の聖水こぼれ赤き靴 ⑤見えない世界へ ☆火は水に運ばれてゆく…
2020年4月5日放送 入選九句 ヒヤシンス日記は鍵を掛くるもの 火星にも地下室ありとヒヤシンス もうおしゃべりなんだからヒヤシンス 八十七峰踏破と男ヒヤシンス 校長の肘掛椅子とヒヤシンス かつ丼のふた取れば湯気ヒヤシンス 少年を操る少女ヒヤシンス 風…
~田中裕明「夜の客人」より~発病41歳 木の瘤の腥くある時雨かな マクベスの魔女は三人龍の玉 家々の切れてつづけり浮寝鳥 強き樹にならむとすらむ厄落 雛の間を覗けば人の寝てをりぬ ブータンも田を植ゑる國うたの國 湖國とや墓を洗ふに水鳴らし 君が知る…
「俳諧の詩学」川本晧嗣(岩波書店)より ・詩の特徴は表現の意外性と意味の不確定性である。 田一枚植ゑて立ち去る柳かな ・俳句の妙味は表現と解釈のあいだを行ったり来たりする往復運動にある。 私の耳は貝の殻 海の響きをなつかしむ ・何通りもの解釈が…
・マカロンの色選びをり春の雪 昨秋からの本ブログにも書いた努力の甲斐もあって、やっと万年佳作を脱し二年半振りに三回目の入選となりました!!!井上先生ありがとうございます。前の二回は作った句を出したら当たったラッキーパンチみたいなものだったけ…
次回投句するつもりなので、参考のために。第22回のお題は「生」です。 ◎題詠「大」特選一席 大寒の海ごつごつとオホーツク 石関武之 がつんと夏ナウマンゾウのいた大地 朝野治美 山一つ大きくしたり山桜 小林政道 大粒の音に始まる夕立かな 阿部恭子 捨案山…
「雪女」が天文の季語とは気がつきませんでした。擬人化された虚構の季語ですが、雪女が出そうなくらい激しく雪が降っているとか積もっているとかいう意味なんでしょうね。長嶋有さんと夏井いつきさんの選ばれた句を比べてみました。 <NHK俳句 長嶋有選「雪…
俳人の違いを知る一番手っ取り早い方法は、同じ兼題で選ばれた句がどういうものか読み比べてみることですね。 <NHK俳句 井上弘美選「時雨」の特選句と入選句> ・仕立屋の窓のトルソー夕時雨 加藤草児 窓、トルソー、フランス映画みたい!? ・伊賀に来て翁…