アニミズム俳句 小澤實選

凍蝶の己が魂追うて飛ぶ 高浜虚子

採る茄子の手籠にきゆアとなきにけり 飯田蛇笏

人来ればおどろきおつる桐の花 前田普羅

蟋蟀が深き地中を覗き込む 山口誓子

雪片のつれ立ちてくる深空かな 高野素十

何もかも知つてをるなり竃猫 富安風生

落葉松はいつめざめても雪降りをり 加藤楸邨

秋の暮尿瓶泉のこゑをなす 石田波郷

泥鰌浮いて鯰も居るというて沈む 永田耕衣

おおかみに蛍が一つ付いていた 金子兜太