冬薔薇や賞与劣りし一詩人 草間時彦

・草間時彦(1920~2003年)サラリーマン俳句、グルメ俳句

金魚赤し賞与もて人量らるる

冷え過ぎしビールよ友の栄達よ

土用鰻息子を呼んで食はせけり

畳屋の肘が働く秋日和

秋鯖や上司罵るために酔ふ

秋風や昼餉に出でしビルの谷

台風や四肢いきいきと雨合羽

障子貼る母の手さばき妻の敵

水洟や仏観るたび銭奪られ

ぼろぼろな花野に雨の降りつづけ

しろがねのやがてむらさき春の暮

木蓮や母の声音の若さ憂し

葛切やすこし剰りし旅の刻 あまりし

妻ふくれふくれゴールデンウイーク過ぐ

とろけるまで鶏煮つつ八重桜かな

大粒の雨が来さうよ鱧の皮

朝寒のベーコン炒めゐたりけり

白湯一椀しみじみと冬来たりけり

味噌汁におとすいやしさ寒卵