好みの俳人見つけた!

青山茂根(あおやまもね)1966年、茨城県生まれ

・ひよめきの閉じて梟帰れざる

・バビロンへ行かう風信子咲いたなら

・ひとつづつ衣服を脱ぎて兎追う

・踏青といへど挽歌をうたふため

・悴むを羽化のはじまる心地とも

・ががんぼに嘆きの壁を与へけり

・雛壇や殿上もまたさびしからん

・かはらけが良きか白夜を酌む杯は

・流氷は嘶きをもて迎ふべし

・蹴爪にて露の深さをはかるべし

・いはれなくてもあれはおほかみの匂ひ

・頬擦りのやうに蜥蜴は冷たくて

・霧ひとつつまめぬ箸を使ひけり

・落下してきし蕣の一団よ (アサガオ

・らうめんの淵にも龍の潜みけり

・夜濯に火星のやうな下着かな

・GIPPO拾ふはんざきの重みとも

・ドル紙幣とて短夜の傷を負ふ

コレラコレラと回廊を声はしる

 

 

好みの俳人見つけた!                         

小野あらた!1993年生まれ、若いなあ!!若くて、スゴイ!!!

読んで分かる句。日常を詠む。日常にある気づかなかった「詩」を見つける。

こんな若手は稀有だなあ。若い時は尖がった句を詠む。それどころか年取っても~

・絵も文字も下手な看板海の家

・春めくや白磁の中のほの明し

・かき氷味無き場所に行き当たる

・水筒の暗き麦茶を流しけり

・水の秋コーラの瓶のうすみどり

・年用意聖夜の飾り取ることも

・新涼やタイルの目地を進む水

秋桜山の起伏に雲沿はず

・口笛も風の端くれ秋の虹

・片膝を風潜りゆく黍畑

・一輪を皆で描きて天高し

・秋風や鏡に映る顏一枚

 

 

 

NHK俳句 「蝶」選者対馬康子 司会武井壮

「俳句五段とばし!」  2020年4月12日放送

①元句

☆幼子の春の小さな赤い靴

②表現を整える

☆幼子のハミング赤き春の靴

③設定を広げよう

☆赤き靴見知らぬ街を春一日

④違うものと取り合わせる

☆春の日の聖水こぼれ赤き靴

⑤見えない世界へ

☆火は水に運ばれてゆく春の靴

 

③設定を広げよう

★初蝶や一頁目をかたく折り

④違うものと取り合わせる

★初蝶やいのりの拳かたく折り

⑤見えない世界へ

★陽炎の一頁目をかたく折る

 

テレビで見た時はスゴイ!ヨシ!と思ったが、④や⑤は出来ない人にはズ~ッと出来ないよね(笑)

 

入選九句 今年度からHPに掲載されなくなったので不便なんです(怒)

てふてふや首飾りして車椅子

海見ゆるまで山登りゆき蜆蝶

永遠を知りすぎたのか蝶生る

襟正す雲より白き朝の蝶

心臓の曲線からとびたつ蝶

青空を漂うものに蝶の骨

存在しない時間蝶の標本

春の蝶炎の谷を飛び立てり

美しき青筋の蝶牛の尿

ボクには良く分からない句が多いなあ〜(泣)

 

 

 

NHK俳句「ヒヤシンス」選者小澤実 

2020年4月5日放送 入選九句

ヒヤシンス日記は鍵を掛くるもの

火星にも地下室ありとヒヤシンス

もうおしゃべりなんだからヒヤシンス

八十七峰踏破と男ヒヤシンス

校長の肘掛椅子とヒヤシンス

かつ丼のふた取れば湯気ヒヤシンス

少年を操る少女ヒヤシンス

風信子探偵はソファーで眠る

ヒヤシンス少女は古屋信子読む

 

特選

一席 風信子探偵はソファーで眠る

二席 少年を操る少女ヒヤシンス

三席 かつ丼のふた取れば湯気ヒヤシンス

 

ゲスト 福田若之

ヒヤシンスしあわせがどうしても要る 

春はすぐそこだけどパスワードが違う

爽やかに俳句の神に愛されて

~田中裕明「夜の客人」より~発病41歳

木の瘤の腥くある時雨かな

マクベスの魔女は三人龍の玉

家々の切れてつづけり浮寝鳥

強き樹にならむとすらむ厄落

雛の間を覗けば人の寝てをりぬ

ブータンも田を植ゑる國うたの國

湖國とや墓を洗ふに水鳴らし

君が知る昭和若しや夏来る

おでんやの豆腐のうまき卯月かな

椎若葉をみなに鮨のあるごとし

空へゆく階段のなし稲の花

渇く日のつくづく冬の田を見たり

あらそはぬ種族ほろびぬ大枯野

月今宵いまも活字を拾ふ人

寝待月加茂川あさく流れけり

冬うららわが身すみずみまで疎し

法師蝉見知らぬ夜の客人と

みづうみのみなとのなつのみじかけれ

元町の地震の冬を思ひけり

吹降りの松のなかなる柳かな

我妻のつゆけくむかふ夜の机

寧日や寒の緋櫻うつむきて

退院す春の戦のをはりけり

 

俳句とはどんな詩か?

俳諧詩学川本晧嗣岩波書店)より

 

・詩の特徴は表現の意外性意味の不確定性である。

  田一枚植ゑて立ち去る柳かな

・俳句の妙味は表現と解釈のあいだを行ったり来たりする往復運動にある。

  私の耳は貝の殻 海の響きをなつかしむ

・何通りもの解釈が生まれるのが短詩である。短詩なかでも俳句は、テクスト(もともとの俳句)とそれを読み取る読者との共同作業で生み出される。俳句作者の仕事は、17音のなかに何かを「述べる」あるいは「語りつくす」ことではなく、読み手に「夢見させる」ための言葉の装置を組み上げることにある。

・俳句は読み手にさまざまな解釈を許すものの、読み手に道しるべ(一定の意味の方向づけ)を用意している。

  やまざとはまんざい遅し梅の花

・「やまざとはまんざい(万歳)遅し」を「基底部(読み手を引きつけながら、それだけでは全体の意義の方向づけを持たない、行きっぱなしの句)」と呼ぶ。そして「梅の花」を「干渉部(その基底部に働きかけて、一句の意義を方向づけ示唆する部分)」と呼ぶ。

俳句の核心は「基底部」にある。読み手は一句全体の意義をどうこう言う前に、まずことば続きの意外さ、面白さによって、無条件にその句の世界に引き込まれる。一句のたねは基底部にあり、句の出来は何よりもまず、基底部の切れ味いかんにかかっている。そして意義は後からついてくる。その意義を生み出すのが「干渉部」である。基底部のはらみ得るさまざまな意義のうち、ある種のものに読み手の注意を引いて、そちらへ最終的な方向づけを果たすのが、干渉部の役割である。

・干渉部には季語または名所が充てられることが多い。歴史のなかで培われてきた季語や名所などの「詩語(歌語)」があるからこそ、俳句は詩の形式として独立できた。

・俳句実作の現場は、文学というよりも習い事、たしなみというか広い意味での遊びの側面が強いようである。しかし俳句は、ことばが本来持っている意味の不確定性そのものを表面化し、協調し、読み手に痛感させることを、一番の付け目とする遊びと理解すべきなのかもしれない。

NHK俳句 井上弘美選「春の雪」入選

・マカロンの色選びをり春の雪

昨秋からの本ブログにも書いた努力の甲斐もあって、やっと万年佳作を脱し二年半振りに三回目の入選となりました!!!井上先生ありがとうございます。前の二回は作った句を出したら当たったラッキーパンチみたいなものだったけど、今回はいろいろ試してみた成果なので充分に達成感あり(^^♪

NHK俳句を始めて丸四年。区切りが良いのとマンネリになってきたので、しばらくお休みします。最後の月に入選出来てホントに嬉しい。再開するのは投句したい選者先生が出演される時と考えています。小川軽舟さんは出ないかなあ!?