第21回NHK全国俳句大会
次回投句するつもりなので、参考のために。第22回のお題は「生」です。
◎題詠「大」特選一席
大寒の海ごつごつとオホーツク 石関武之
がつんと夏ナウマンゾウのいた大地 朝野治美
山一つ大きくしたり山桜 小林政道
大粒の音に始まる夕立かな 阿部恭子
捨案山子川を流れて大海へ 森美樹
三回で大なわとびの音になる 遠音
明日は伐る大木の影今日の月 田原より子
鬼やらひ父となる子の大き声 菅原輝子
終点のバスより大蛾掃き出しぬ 嶋田恵一
火星大接近山蟻畳這ふ 龍太一
天体は大きな柩渡り鳥 龍太一
被災地に大きなポスト草の花 森仮名恵
・題のためか(?)大きな景が多いですね。気持ちがイイ。
◎自由題特選一席
人呑みし川とは見えず櫨紅葉 若本鴻遊
滝落つる大地途切れし驚きに 池田純子
遠く見て母語り出す端居かな 野﨑郁雄
北窓を塞ぐ自画像立てかけて 山口あや子
あの茂みに届いたらホームランな あいだほ
全鱗の恍惚として蛇泳ぐ 此花悠
コンビニは光る水槽夜の秋 青木喜代江
・龍太一さんはこっちでも特選二席、すご過ぎる!
人類の化石は未完天の川
雪女さまざま 「NHK俳句」と「俳句ポスト」
「雪女」が天文の季語とは気がつきませんでした。擬人化された虚構の季語ですが、雪女が出そうなくらい激しく雪が降っているとか積もっているとかいう意味なんでしょうね。長嶋有さんと夏井いつきさんの選ばれた句を比べてみました。
・こんこんと雪女にもつもるらむ 泉まさ江 「にも」が効いてます 漢字と平仮名の使いわけの妙味!
・停電の五分の長し雪女 山本敏男 これが天文の季語としての使い方ですね
・除雪車の吐き出す影や雪女 西川由野 「影」がイイですね
・前つぼにひそと緋まとふ雪女 大武美和子 情緒のあふれる句ですね~
・風の弾く短三和音雪女 鹿沼湖 短三和音が絶妙
<俳句ポスト 夏井いつき選「雪女」の天句、地句>
・雪女の気配に雲の香が強い 酒井おかわり 気配、雲の香!南国育ちにはとても詠めない雪国の方の句ですね
・雪女の息か神鏡を砕きしは RUSTY 雪女の恐ろしさを表現している
・あれは雪女だったと筆談す あみま 筆談がいろいろ想像させます
・祖父も知らぬ祖母の生ひたち雪女 ももたもも 祖母は雪女だったの?
・逆立てる水の鱗や雪女 天文の句らしい使い方
<NHK俳句に投句した私の句> 佳作になれるかな?
・山小屋は近し紅引く雪女
・雪女煙管煙草の火の消えて
・タクシーを待つ殿は雪女
・すすきののツケ取りに来る雪女
・ 雪女二度見をしても雪女
時雨さまざま 「NHK俳句」と「俳句生活」
俳人の違いを知る一番手っ取り早い方法は、同じ兼題で選ばれた句がどういうものか読み比べてみることですね。
・仕立屋の窓のトルソー夕時雨 加藤草児 窓、トルソー、フランス映画みたい!?
・伊賀に来て翁時雨と言ふに遭ふ 石山貞 芭蕉の生地への挨拶句
・振り向けばしぐるる中に母立てり 瀧澤久子 父ではダメですか?
・夕時雨あぶり餅屋の向かひ合ひ 浦田祐子 京都の実景ですね
・しぐるるや地下へと降りる版画展 横堀正雄 版画展がイイですね。リアリティ!
・夕時雨ほんのり紅き海老真薯 瀬尾柳匠 僕は鰊蕎麦と取合わせてボツでした><
<俳句生活 夏井いつき選「時雨」の天の句と地の句>
・令和元年皇居時雨てございます 凪太 時雨と皇居が合うのかな? 口語体
・遥かまで暗き時雨の滑走路 ふるてい 時雨の中に見る滑走路はロマンチック
・山頂を天狗の走る時雨かな じゃすみん 鞍馬の辺りかな?
・洗ひ場に猪の頭ごろとしぐれけり RUSTY 近所の駐車場で見たことあります><
・時雨るるや校歌幽き保健室 古瀬まさあき 学校の時雨ネタ 選者は元教師なり
・時雨るゝや音楽室のバッハこわい 多喰身・デラックス 学校の時雨ネタその2
伝統系と現代系の俳句の句材や表現する言葉は、ずいぶん違う気がします~!
俳壇の違い 「NHK俳句」と「野性俳壇」
畏敬する選者長嶋有さんへの投句で、NHK俳句では佳作1回、没7回。野性俳壇では特選1回、佳作1回、選外佳作1回、没3回。この評価の違いの最大の理由は僕の句の出来不出来ではなく、それぞれの俳壇の風土の違いだと思う。
「NHK俳句」
テキストにも書いてあったが、投句者は高齢者が多いまた投句数が毎月数千句の規模。だから、僕の句柄も数多の高齢者と同じような発想、展開、結末なんだろう。類想、類句から抜け出せていない。オリジナリティが必要!
「野性俳壇」
有さんの呟きによると、投句者はそんなに多くない。僕の推測では、NHK俳句よりも投句者は若い。だから、僕の句柄が類想、類句の中に埋没していないのだ。発想の若い句で揃えようなんて思わずに、思い切り高齢者の発想の句も含めて勝負したらイイのだ!
では、「NHK俳句」で他の選者に比べて長嶋さんに極端に採って頂けない要因は何だろう?僕が普通に作った句では難しいのは確か!それを意識すると余計に難しくなる!!
自分の俳句を広げるためにチャレンジを続けた方がイイのか?それとも個性の違いと割り切って止めた方がイイのか?まあ、少なくとも3月までは続けます!?
佳作の研究 長嶋有選「クーラー」より
戦前に予想した通り、選者長嶋さんとは相性が悪くここまで佳作1回、没7回。今回は佳作に採って頂いた貴重な一句をチェック。
NHK俳句9月号掲載の佳作句の中からリスペクトする五句、順不同
2.冷房のイオンに勤め占師 吉岡徹
3.クーラーごうごう喫茶マエダのナポリタン 青海也緒
4.冷房や捜査一課の出払いぬ 紗千子
5.クーラーやハラリと落つるバスタオル 斎藤睦子
有さんはよっぽど「捜査一課」がお好きみたい♪ 「クーラー」を使ったらやっぱり片仮名が合うよね^^
僕の佳作句
・クーラーやスポーツバーのスポーツ紙 葦たかし
クーラーの効いている場所をいろいろ考えた。それから、片仮名で揃えようと思った。下五は当初はアイスミルクだったんだけど、今読むとスポーツ紙よりホットミルクがイイような気がするなあ~
推敲句
・クーラーやスポーツバーのホットミルク
没句の研究 選外佳作はどれだ?
「野性時代」1月号の野性俳壇は初めての選外佳作でした。作者だけが発表されて、句は掲載されません。果たしてどの句であったか推理して見ます。
<投句した句>
1.大晦日ごみ箱に降る外れくじ
2.レシートの財布に溢れ大晦日
3.大晦日やつと飛び乗る夜行バス
4.心臓は休む刻なし大晦日
5.大晦日いつもの場所に占ひ師
さて、先ずは季語が「クリスマス」でも「お正月」でも成り立つ句、つまり季語が動く句はどれだ???2番、4番、5番は「大晦日」でなくてもイイかなあ。もっとも、取合せでは季語が動かない句が稀だけど~
1番は宝くじが外れたこと、3番は仕事が多忙で帰省バスにやっと間に合ったこと。まあ、どっちも類想・類句はあるよね。どっちかと言うと景が浮かぶから1番かな!!!
◎大晦日ごみ箱に降る外れくじ
では、入選のためには、もう少しインパクトが必要だった。う~~~ん(><)
じゃあ、いっそ当たりくじにして、
◎大晦日当たりくじ舞ふ四畳半
没句の研究 長嶋有選「蚯蚓鳴く」より
NHK俳句11月号の佳作の中からリスペクト五句、順不同。
1.耳動く眠れる獅子や蚯蚓鳴く 塚原味紀枝
3.血圧計のエラー三たびや蚯蚓鳴く 向井桐華
4.二人ゐて話すことなし蚯蚓鳴く 中井一雄
僕の没句
1.蚯蚓鳴く屋根にシーサー眠りをり
2.恋愛は2で割切れぬ蚯蚓鳴く
3.一斉に既読の付いて蚯蚓鳴く
4.これよりは妻の権限蚯蚓鳴く
5.迷ひたる免許返納蚯蚓鳴く
長嶋有さんのコメント
この季語は汎用性が高く、なにを取り合わせてもそれなりにそれらしく思えてくる。
採らなかった句は、あえていうとどこか既視感があるもの。また季語の取り換えが効くと判断したもの。
僕の感想
没句は映像が浮かばない。あるいは音が聞こえてこない。つまり五感を刺激しない。また2や5は陳腐、類想。免許返納の句は山ほどあるらしい。(><)
机で考えるからダメなんや。Y-Tube見たり、本見たり、テレビ見たり、散歩したり、せにゃアカン!