角川俳句2019年11月号より
入選まであと一歩 夏井いつき
・匂ひたつ茅の輪の青をくぐりけり
・青き香にふれつつ茅の輪くぐりけり
この2句は俳句としては成立している。では、なぜ入選にならないのか。それは同じような発想の句が多いからである。では、どうやって「類想類句」から抜け出すか。勝負はここからである。
・雨吸うて青く匂へる茅の輪かな
「雨」という新しい情報が入りましたね。「茅の輪」の濡れた触覚と嗅覚が生々しくなります。ここまでくれば、入選のボーダーライン上にあがってきます。
「添削例」
・雨吸うて茅の輪の青く匂ふ朝
「添削例」
・雨青し茅の輪を青く匂はせて
さらなる情報をさりげなく入れて、オリジナリティとリアリティを確保できないか。あれこれ工夫してみるのが、推敲の楽しさです。